仕事の完成を請け負う者(個人事業主、independentcontractor)と、相手方の指揮命令を受け、その労務に服する者(労働者、employee)をどう区別するかは、それ自体、労働法における大きなテーマの一つであるが、本章が対象とする請負は法人(会社)が当事者となる請負であり、ここでイメージされているような個人が当事者となる請負ではない。
また、会社が仕事の完成を請け負う場合にも、注文主(発注会社)の事業所の中で作業を行なうものと、請負会社(受注会社)の事業所で作業を行なうものとがあり、本章ではこのうち前者を「事業所内請負」と呼び、これを考察の対象とする。
いずれのケースも、業務の一部を外注(アウトソーシング)するという点では共通しているが、後者は独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法、下請中小企業振興法等、経済関係法規の適用(親企業とのあいだの公正取引の確保)が主として問題となる領域であり、労働関係に及ぼす影響も間接的なものにとどまることから、これを考察の対象から除外することとした。
連合総研(連合総合生活開発研究所)が2000年10月から12月にかけて実施した「多様な就業形態の組合せと労使関係に関する調査」によれば、1事業所平均の請負社員(業務請負契約により、職場内で働いている者)の数は68.8人、派遣労働者数24.9人の2.8倍を数えるものとなっている。
総務省統計局の「労働力調査特別調査」によれば、2001年2月現在の派遣労働者数は45万人であることから、これに上記の倍率を掛けると、請負労働者の数は約124万人という計算になる。
1万社100万人、事業所内請負の市場規模を示すものとしてよく引き合いに出される数字であるが、実態はこれを上回るようでもある。
請負会社A社にみる取引先との関係事業所内請負が普及した業務としては、製造(工程)業務のほか、車両運行管理業務、レセプト等の医療事務受託業務、ホテルの宴席等におけるバンケットサービス、給食受託業務等が知られているが、それぞれに専門の事業者がおり、なかには企業グループを形成している大手の会社もある。
A社の場合、取引先に占める電機産業関連業種(電気機器、半導体、電気・電子部品)の割合が59.9%ときわめて高いところに特徴があるが、地域によってはこれが自動車産業等に特化することもある。
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